東京高等裁判所 昭和41年(ラ)66号 決定 1966年9月26日
昭和四一年(ラ)第六六号事件抗告人 深川信用組合
右代理人弁護士 石川泰三
<他二名>
右復代理人弁護士 深道辰雄
昭和四一年(ラ)第七五号事件抗告人 西沢金蔵
右代理人弁護士 奥一夫
昭和四一年(ラ)第六六 七五号事件相手方 星野勝治郎
同 坂本伝吉
同 幸中寅之助
同 朴永南
同 池田正勝
主文
原決定を取消す。
本件競落を許さない。
理由
昭和四一年(ラ)第六六号事件の抗告の趣旨及び理由は別紙記載のとおりである。本件競売期日が昭和四一年二月一四日午前一〇時に開かれたことは一件記録上明白で、該期日の公告書が同年一月二〇日午後二時三〇分東京都江戸川区役所掲示場に掲示された旨の執行吏代理城護郎作成の報告書(原審記録一三七丁)があるけれども、抗告人提出の甲第一ないし第三号証によると、昭和四一年二月九日午後二時現在右競売期日の公告書が同区役所掲示場に掲示されていなかった事実が認められ、更に右甲第一号証の記載によると右期日の公告書は同区役所が受附後直ちにその「税務課」に廻付したまま同課に滞留して右日時まで未だ掲示された事実がなく、従って前記執行吏代理作成の報告書は事実に反し形式的に作成されたに過ぎないことが認められる。右認定に反する甲第三号証の記載部分は採用できず、他に右認定に反し、競売期日の公告書が競売期日の一四日以前に江戸川区役所掲示場に掲示された証拠がない。
してみれば、本件競売期日は競売法第三二条が準用する民事訴訟法第六七二条第六号に該当する違法があるまま開かれたこと明らかであり、本件競落は許すべからざるものであるから、爾余の抗告理由に対する判断をまたず、原決定は取消しを免れない。
昭和四一年(ラ)第七五号事件抗告人は原決定を取消し更に相当の裁判を求める旨申立て、抗告の理由については追って提出すると称し乍ら今日までなんら理由を追完しないので、不服の理由を知る由がないが、前示のとおり本件競売期日の公告書が江戸川区役所掲示場に適式に掲示されたとは認められないから、右期日になされた競落を許可した原決定は取消を免れず、本件抗告は結局理由あるに帰する。<以下省略>。
<以下省略>